さがみはら介護支援専門員の会 代表挨拶
さがみはら介護支援専門員の会 代表 臼井 意
来るべき超少子高齢社会に向けて、国ではこれまでも様々な議論が重ねられてきました。
そして、地域包括ケアシステム、地域共生社会などの理想像が描かれ、これらを実現すべく、迷走にも見えるような試行錯誤が繰り返されています。
今後ますます高齢者は増加し、その支え手が不足することは火を見るより明らかです。
つまり、国から出ていくお金は増え続け、入ってくるお金は減り続けることになるわけです。
国の財政はこれまで以上の超赤字経営へと傾き、いずれは日本国という国家自体の信頼が失われ、国債や通貨の大暴落、ということも考えられなくはありません。
これは会社の倒産と似ています。
これに何とかブレーキをかけなければ、というのが今の情勢ということになりますが、簡単に言えば、「出るお金を減らす」か「入るお金を増やす」しか方法はないわけです。
そして、その「出るお金」の多くが医療や年金、介護などの社会保障費ということになります。
医療や年金の歳出増加はもちろんですが、介護についても、制度創設以来給付の額は増加の一途をたどっています。
介護保険の場合、給付額の増加に比例して保険料が上がる仕組みになっているため、給付が増えるほど保険料が上がって広く一般の高齢者の生活を苦しくする、という状況も生んでしまいます。
そこに何も手を打たなければ、いずれは高齢者の生活そのものが成り立たなくなり、この制度自体が崩壊するのでは、と国は心配しています。
そんな情勢の中で私たちケアマネが求められることは?
それは、要介護高齢者の方々の心身機能の低下をできるだけ抑えること、今できることを可能な限り減らさないこと、健康状態の悪化を防ぎ、悪化の兆候が見られたら早期に治療につなげること、治療が終わった方をスムーズに元の生活に戻すこと、などということになるでしょう。
要するに「重度化防止」「自立支援」「多職種(医療との)連携」ということです。
私たちが高齢者の方々の「可能な限り健康で自立した暮らし」を守ることがすなわち、この制度自体を守ることにもつながると言えるかもしれません。
人や、会社などの団体は、基本的に「利害」に基づいて動くものです。
言ってみれば、その結果が今の状況です。
これを打開するには、これまでとは全く違った価値観に基づいた「新しい利害の仕組み」を構築するか、「利害を超越した人」を作っていくしかありません。
「新しい利害の仕組み」の構築も模索されていますが、これには多くの難点があります。
その仕組みの一つがアウトカム評価のようないわゆる「成功報酬制」ですが、これを導入すれば改善可能性のある方しか受け入れなくなる(結局ここにも「利害」)のでは、などまだまだ課題が多く、そう簡単に軌道に乗りそうもありません。
では「利害を超越した人」とは?これが、私たちケアマネジャーであってほしいと私は願っています。
そしてここにこそ、私たちケアマネの存在理由があるとも思っています。
これがとても難しいことであることは百も承知ですが、国難ともいえる今の状況を乗り切るためのキーパーソンとして、私たちの多くが真のミッションに気づき、動いていかなければならないと思うのです。
同時に、大変なこともたくさん待っています。ただ、私たちには多くの仲間がいます。
その仲間たちが手を携えて、ときに慰め、ときに励まし合いながら、日々の業務に当たっていければと、心から願っています。